理事長メッセージ

理事長メッセージ

利用者のニーズを踏まえ、衛星通信システムの安定的、かつ適切な運用に努めてまいります。一般財団法人自治体衛星通信機構 理事長 久保 信保

都道府県知事、市町村長、消防長及び関係者の皆様方の長年にわたる自治体衛星通信機構に対するご支援・ご協力に対し、心から御礼申し上げます。

自治体衛星通信機構は、全国の地方公共団体・防災関係機関等が、災害時に強い特性を有する衛星通信システムを共同で利用するため、必要な設備等を設置し管理運営する機関として、地方公共団体からの出損の下、その総意に基づき平成2年に設立、翌3年12月から運用が開始されました。以来、地域衛星通信ネットワークは、都道府県と市町村とを結ぶ都道府県防災行政無線、消防庁と都道府県とを結ぶ消防防災無線(衛星系)として位置付けられ、各種通信、災害現場の映像情報の伝達等のサービス提供のみならず、近年は、全国瞬時警報システム(J-ALERT)の伝送路としての役割や、ヘリコプター衛星通信システム(ヘリサット)の映像伝送手段として利用されるなど、現在の国民保護・消防防災行政においては、なくてはならないシステムとなっております。また、災害対応以外においても、全国都道府県知事会議、地方行政に関連した中央省庁会議に係る中継などの行政情報や、地方公共団体による講習会・イベントなどの地域情報の伝達手段としても利用されております。

地域衛星通信ネットワークは、サービス開始以降、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災や平成16年10月の新潟県中越地震等、大規模災害の様々な局面において有効に活用されてきましたが、特に、平成23年3月11日に発生した東日本大震災においては、多くの市町村において、地上系の通信手段が完全に途絶し、復旧するまでの10日程度の間において、私どものネットワークが国と被災自治体を結ぶ唯一の通信手段として輻輳することなく利用され、「最後の通信手段」としての存在価値と役割が改めて見直されたところです。

一方、この四半世紀の間に、情報通信を取り巻く環境は劇的な変化を遂げ、地上系を中心とした高度情報通信網が飛躍的に発達し、行政の効率化や住民サービスの提供等、様々な場面での利活用が普及する反面、私どもが運用している衛星通信分野においては、施設整備や運用の面から様々な課題を抱えるに至っております。地域衛星通信ネットワークにおいては、平成15年度の第二世代化以降、都道府県における財政状況の悪化を背景に、市町村局を廃局し、地上系無線網や民間衛星サービスなどの通信手段で補完しようとする動きが顕在化しており、当機構の経営にも深刻な影響を及ぼす状況となっております。

このような現状と課題を背景として、私は、平成26年4月の理事長就任以来、地域衛星通信ネットワークの安定的な運用を行うためのサービスや、それを担う機構の組織形態のあり方について、私的諮問機関である「一般財団法人自治体衛星通信機構有識者会議」に審議をお願いするなど、中長期的な視点から検討してまいりました。その結果、昨年7月の有識者会議において、現行の課題を踏まえた次期ネットワークの方向性について、機構としての考え方を早急に整理し提起すべきとの考えが示されました。そこで、機構の経営が将来にわたって持続可能なものとなること、また、それと整合の取れたネットワークシステムを構築することを目指して、国内外の技術動向等についての調査・検討を踏まえ、本年度から新たなシステムの開発に着手することといたしました。

具体的には、ユーザーのニーズが高い「映像伝送サービス」の高画質化・多チャンネル化を図るとともに、新たに「インターネット接続サービス」の導入を先行して行い、これらのシステムの運用状況を検証しながら、現行の第二世代システムの後継となる次世代システムの開発を行うこととしており、これらの開発と並行して、新システムの運用に係る諸課題の解決のための検討を行うこととしております。

これらの開発及び検討に当たりましては、これまでどおり、有識者会議における議論を踏まえ、昨年7月に発足した「地域衛星通信ネットワーク担当課長会」との連携のもとに行ってまいりたいと考えており、新たな地域衛星通信ネットワークが、技術面・運用面のみならず経済的な観点からも、利用者である都道府県・消防本部のご期待に沿えるような形で実現できるよう取り組んでまいります。

今後も機構といたしましては、これらの取組みを通じ、地域衛星通信ネットワークの将来的な展望を描きながら、日常の業務においては、利用者のニーズを踏まえたネットワークの適切な運用に努めてまいりたいと考えておりますので、引き続き、皆様方の一層のご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

平成29年4月